spin & ply

編地の斜行


目を増減していないのに、編地が斜めになっていくことを「斜行」と言います(「斜向」と書く方もいます)。

 

かぎ針編みの場合は編み方の特徴で、輪で編む(一方向に進んでいく)ときに起こりますので、往復編みにするなどの対処で解消できます。

棒針編みの場合の原因は糸の「撚り」です。

編む時に使用する糸は、まず羊毛や綿花などの原料を紡い(spin)で糸にしたもの(単糸)をさらに何本か撚(よ)り合わせ(ply)てできています。

海外の糸など、太さを表すのに「4PLY(フォープライ)」(=単糸を4本撚り合わせた)とか「8PLY(エイトプライ)」(=単糸を8本撚り合わせた)と書いてあることがありますよね。

この時の糸のねじりの方向をアルファベットのSとZになぞらえて、「S紡ぎ/S撚り(反時計回り)」「Z紡ぎ/Z撚り(時計回り)」と言います。


手編み糸のほとんどはS撚りです。おそらく単糸がほとんどZ紡ぎなので、S撚りにならざるを得ないんでしょう。(※Z紡ぎの単糸を撚り合わせるときはS撚りに、逆にS紡ぎの単糸を撚り合わせるときにはZ撚りにしないと撚りがかからない。)

写真左の糸(ネイビー)は「S紡ぎ、Z撚り」、右の糸(ベージュ)は「Z紡ぎ、S撚り」


SとZがバランス良く相殺されていればいいのですが、撚りが強かったりすると編地が斜行します。軽い斜行ならブロッキングで直りますが、きついようなら、斜行はメリヤス編みでしか起こらないのでメリヤス編み以外の編地にするか、斜行を編地のデザインととらえて、斜め編みの要領で編み図を作るかですね。

ちなみに、S撚りが強い場合編地は左へ傾いていきます。前述のとおり手編み糸のほとんどはS撚りなので、斜行する場合はたいてい左へ傾きます。